MGC.44オートマグ スタンダード・モデル

さて、オートマグといえば、勿論エーベルバッハ少佐である。

その作画資料は、細部の形状からMGC製モデルガン、それもスタンダード・モデルだというのは以前にも述べた。
「イン・シャー・アッラー!」において、ギェティに「鉄のクラウス」であることを証明しろ、と要求されたシーン、グリップと銃口付近の形状からMGC製品、そして引いたボルトの形状から、ブローバックモデルではなくスタンダードモデルである、と。
MGC製オートマグは1975年頃、元々は玩具問屋方面からの「大型のオートを」という要求で設計されたらしい。玩具屋でモデルガンが買えた時代があったのか……と驚きなのだが。
当時はまだ現在の様な閉鎖系ブローバックシステムでなく、開放型のオープンデトネーター方式、それも紙のシートに粒状の火薬が並んだ“紙火薬”をちぎって数粒詰め込むというもの。私がモデルガン趣味に入った頃はすでに紙火薬は無く、ビニールのキャップに綿状の火薬を盛った“キャップ火薬”で、ブローバック方式はマルシンのPFC(プラグファイアー・カートリッジ)方式、MGCのCP(キャップ・ピストン)方式に代表される閉鎖系システムが主流(当時オープンデトは実質的にMGCイングラムしか無かったはずだ)だったので、紙火薬時代のエピソードは雑誌のバックナンバーなどでしか知らないのだが……。
で、スタンダードモデルというのは、1発ごとにボルトやスライドを引くことでカートのエジェクトと装填を行う“手動モデル”のことで、昔はこれが当たり前だった。
ブローバック方式が主流になりつつあったこの当時でも、廉価版的な意味もあったのか(あるいは、まだ作動が安定しなかった時代だったからか)スタンダードモデルも併売されていた。MGCでは他にコルト・ウッズマンやGM2、.32オート、金属製M16A1にスタンダードの設定があったように思う。リアルタイムで知ってた世代ではないが。

私は確か、97年頃に「LAガンショップ」でだったと思うが、中古でCP方式・ABSブラック地肌のを購入した。かなりスプリングのテンションが強く、“ワンキャップ大関”(懐かしいな)を使って発火させると“バシュッ”と火薬ガスだけ抜けてしまう、なんて事が時々あったように思う。いや、普通の撃ち殻キャップでだったか? ちゃんと作動すれば、カートのストロークが長いゆえか結構ズシンとくる反動が楽しめたのだが。


分解がややこしいんだよなあ、MGCオートマグは。
その後、多分98〜99年頃だったと思うが、大阪で開かれた“ショットショー・ジャパン”のガレージセールコーナーで、このスタンダードモデルを手に入れた。箱と説明書&カート、スペアバレル(上部レシーバー)、ヒップホルスター付で……いくらだったろう? わざわざスタンダードを買ったくらいだから、恐らくはCPブローバックの方のパーツ取りとしてか、あくまでコレクションに入れてもいいかな、くらいで買った筈はずなので、多分2.500円〜3.000円くらいだと思う。
青池先生の以前の公式サイトで、オートマグ話になった時にちらっとコレの話を出した記憶はあるのだが……。

黒光りするABSボディ……って、オートマグは本来ステンレス地肌の銀色である。

カートは先端に火薬を詰めるシンプルな物。なんとシルバーチップの……ホロー(孔)がやたらでかいな(違)。
リコイルスプリングとハンマーのスプリングはCP仕様に比べ軽めの様だ。

ボルトを引くと、ロテイション・スロットが一応再現されている。


ボルト先端にはロッキング・ラグがある。実銃なら、ボルトが回転しチェンバー側のロッキング・リセスとかみ合って固定・閉鎖されるわけだ。
ブローバック仕様――初期はなんと亜鉛合金製のボルトだった! 自主規制でプラ製になったが――ほどの強度が要求されない故か、こういうボルト形状をそれらしく作るというお遊び、というかサービスも出来たのだろう! さすがにボルト回転まで再現したのはLSプラモデルガンしかなかったが、あれもアクセラレーターはあるけどチェンバー側のリセスまでは無いしナァ。ちなみに7+1のキャパシティなのもLSだけ。

MGCのはセフティレバーを“下げてON(安全)”なのでグリップ部分に切り欠きと“F(つまりFire)”の刻印がある。
実銃はレバーを上げてセフティONなので逆。……実はボルト後部のリコイルスプリングガイド基部に、経年でクラックが入ってる(--;)。

実際に遊ぶならやはりブローバック、それもCPカートになってからのものがいいし、もっと言えば初期亜鉛ボルト(これもショットショー会場、確か97年秋だったと思うが、ついつい見逃してしまった。無念)に換装したやつがよいのだろう。今となってはマルシンの金属モデルガンを買い逃したのも悔やまれる。
マルシンのガスブローバックガンも欲しいが、残念な事に8.5inの“クリント1”なのだ……あれもカッコよいが、やはり“鉄のクラウス”は6.5inでなきゃ!