マツシロ・スーパーガバメント

みんなー! 1911オートは大好きかー!?

十年一昔とは言うが、それが三十年ともなるとなおさらだ。
1970〜80年代の1911カスタムは、今時のカスタムしか知らん十代にとっちゃ「なにそれ」だろうが、現在に至るまでの過程として知っといて損はないのだ。


で、
今時はガスブローバック当たり前で、さもなきゃプルコッキングか、という状態だが――。

「なに? プルコギがどうしたって?」

違うんだよ、エアコッキングで、スライドやボルトを引いて(pull)コックするのをプルコッキングというわけだが、昔は逆にスライドをプッシュしてコッキングする方法というのが主流だったんだよ。……誰だ! 日野式のブローフォワードみたいなのを想像した奴は!

1980年代前半、コッキング方式のハンドガンはカート式なのが普通で、ボルトやスライドをグッと押し込んでチェンバーにカート装填&ポンプ圧縮、トリガーを引くと、機種にもよるが――たとえばマルゼンのM59みたく――スプリングでスライドが後退してカートが飛ぶ!

こんなカンジだな。

目が点になった少年、大丈夫かー?

これは確か、十数年前に大阪の「プロテック」(なんばピアで「ウェスタンアプローズ」を引き継いだ直後だった筈)のジャンクボックスで見つけた個体だったと記憶している。マガジンとカートは欠損していた。

なので実射したことはないが、当時はまだ6mmBB弾ではなく鼓弾(7mm?)だった筈だ。

全体的なパッと見のプロポーションはそれほど悪くないし、6inロングスライド・カスタムの雰囲気は出ている。S70のラージ刻印はMGC・GM4ゴールドカップ・ナショナルマッチの影響かとも思えたが、スライドのセレーション(SFAみたく斜めノコ状)や上面(グルーヴでなく梨地)、リアサイト(GM4はイライアソン)やエジェクションポート(リバースカットが無い)、フレーム側もトリガー(ノーマル幅)やサムセフティ、ハンマー等全く違う。グリップフレームはGM2/GM4(実物よりわずかに短くアレンジ)よりちょっと長めだ。

スライド後部から突き出すポンプ部分がヘン?


あのね……マルゼンのM59が出るのが1983年ころ、MGCが業界初のガス・ハンドガンであるM93R(当然固定スライドだ)をリリースするのが1985年(同時期にWA・AR7もガス化されたな)、ガスブローバックのハンドガンは1987年のマルイ製M59&ブローニング・ハイパワーまで待たなきゃならなかったんだよ?

ガスブローバックだって、89年ころのタナカ製ガバ(割り箸マガジン・ケースレス)やマルシン製ガバ(カート式)みたいなのは出たけど、本当にモノになった――普及したといえるのは1992年にMGCグロック17を、そして1994年にウェスタンアームズがマグナのM92FSを出したあたりから、だ。

確かに、今となっては「ナニコレ」だ。
コンディションは悪いし、性能がどうこう言う代物ではない。
ただ、トリガーを引くと“パシャーン”とスライドがスプリングバックしてくるのは、なんとなく癒されるというか、ガスブローバックとはまた違う“おかしさ”がある。

だから、大事なコレクションのひとつとして、当分クローゼットの住人でいてもらおうと、思う。