MGC製 S&W .44マグナム(後編)


確かに、昭和46年規制後の初期プラ製リボルバー全体的に軽いし、寸法的にはいささか細身だ(Nフレームなのに、前後はともかくフレーム上下幅がLフレームと大して変わらない)。

元々が初期のプラ製リボルバーであるハイウェイパトロールマン.41マグナムの発展型といえるのだが、元々のハイパト.41からして、ルックスはM27の3.5inで名称はその廉価版であるM28(3.5inは存在しない)、そして本来口径は.357マグナムなのに、重量稼いだりスタ管使うために同社SAAの大きなカートを使えるように、という事で.41マグナム、という設定になったと聞く。……もしかして、まずカートの寸法ありきで逆算して設計したのだろうか? あと、子供が持てる寸法に、とか。

が、全体のバランスには妙に温かみがある。トリガーガードの丸みと、その上の太いシリンダーがいいのだな……。6.5inの場合、細いサービスサイズのグリップとアダプター(テーラーでなくパックマイヤーあたりのコピーか?)の組合せが、そのフレームやシリンダー回りをたくましく見せているように思う。
ヒケたABSのテカリもなんか悪くない。しかもカートはフルサイズでないにせよ、コクサイの小ぶりでえらく寸詰まりなカートと比べそこそこのサイズ。

何より、手に取った感触がある種オモチャオモチャしてるにもかかわらず――だからこそか? 雰囲気がいいのだ。難しい事を考えず、火薬詰めてバンバン発火させて遊べ! と言わんばかりの(事実そうだろう)潔さ、というか、逆にリアルさに欠ける分、ガチャガチャ動かして遊ぶには丁度いい、と思えてくる。
そうだ、これは、M29というより“44マグナム”あるいは“マグナム44”なのだ。
エルマー・キースの存在や、ビル・ラングロイの発言なんて関係ない。疾走する自動車のエンジンを破壊しストップさせ、アフリカ象をも倒し、巨悪を粉砕する。その44マグナムを自分も手に出来るのだ!

先に「殺人課」と「俺勲」を挙げたが、それとは別にこういう雰囲気そのものを、20年程前の自分も感じ取っていたのではないだろうか、と思う。ただ当時はそういう味わいより、リアルさそのものを重視していたんだよな……。
ともかく、いくら“ドカドカ発火”前提のモデルガンとはいえ、未発火ド新品のデッドストック状態だっただけに、遊ぶなら発火用のボロいレストアベースが欲しくなる。当時、奈良にあった「LAガンショップ」に中古の6.5inが2〜3.000円前後でいくつかあった。……が、なんとなく見逃し続けてそれっきりになってしまった。

リアルタイムでこのモデルガンで遊ぶには、私は生まれてくるのが遅すぎたんだろう、と思う。というか、もう数年早く「赤春堂」でモデルガンを売っていると知ってたら……。
惜しいな。