マニア様がキテる――「メガロ刑事」(5/10?)

「いいかッ、私がいるから見城重吾は、メガロ刑事として何とか警察機構の中にいられるんだ。
私の命令は絶対だと思ってもらう、いいなッ!」
第6話、自宅マンションでくつろぐ江本警視正。そこに放たれた2発の銃弾は、江本の頬と足をかすめる。
――夜の関越を走る見城の車、その背後から白バイが追ってくる。
「手配中のナンバーの車を発見ッ!!  関越自動車道を郡山インターへ向かって逃走中!!」
翌朝、警察庁で見城は江本に、用事のたびに指名手配されたんじゃ俺は前科百犯ぐらいになっちまう。とぼやくが、およその行動地域は判っていても、連絡方法がない(そもそも当時はケータイなんか無い)以上仕方あるまい、と一蹴される。
江本にガードを命じられた見城は、所轄の捜査担当者に声をかけられた。――犯人は江本警視正を殺せたのに殺さなかった。何故だ? 犯人の狙いは江本本人でなく、彼につながる人物ということも?
その夜、用があればポケットベルで呼んでくれ、と言い捨てて江本のマンションを出た見城は、呼び出しに急行する途中で何者かに左肩を撃たれる。やはり狙いは自分か!?
数日後……江本とその恋人・洋子は、マンションで二人くつろいでいた。見城にも酒を勧める洋子だが、江本は「番犬はいちいちご主人様と同じものは飲み食いしないものだ」とあしらい、彼女を寝室に誘う。
やがて午前4時を回り、眠りこける見城――寝室の扉が開き、ライフルの銃口が突き出される! しかし弾が出ない。見城が事前に弾を抜いておいたのだ。……洋子のゴルフバッグの中を調べて。
洋子は3年前、見城が射殺した犯人――当時の恋人の復讐を果たそうとしたのだ。見城は彼女に、江本もあんたもお互い惚れている様だ、と指摘する。俺を狙うために江本に近づいたのでなく、江本と付き合い始めて俺のことを知ったのだろう?
「だったらやり直しちゃあどうだ?」江本が睡眠薬の眠りから覚めたら、全てカタがついたと言っておけ、と言い残し、ライフルを持って立ち去る見城――。ふらつきながら出てきた江本にすがりつく洋子。

第7話、雪降る北陸の漁港――タレコミを元に派遣された見城が追うのは、時効まであと3日の殺人犯。
「人生ってこんなものかな?」
都会で女達に囲まれエレガンスに生きてきた男が、こんな寂しい町にもぐりこんだのは犯罪者心理か。飲み屋に入ると、笑顔のかわいい看板娘「お客さん、この町は初めてだな?」」見城に突き刺さる周囲の視線。しかし見城は、ニット帽の中年漁師をチラチラ見やる。その男に看板娘も、熱い視線を向ける。――その男こそ、見城の追う殺人犯だった。
見城は男を尾行するが、その家の目前で引き返そうとする。……そこに看板娘が訪れる。
そして後を追って踏み込んだ若い漁師は、自分の恋人をたぶらかしたと中年男を、そして恋人の心変わりをなじる。しかし男は、コタツからゆっくり身を起こすと、二人をいさめる。
「女はな、男にこれだけ惚れられりゃ本望じゃねえか。わかるかい、俺の言うことが? そういうことなんだ……よ」
「男がな、心底女に惚れたら土性骨入れることだ! ちょいと風向きが妙な具合だからってうろたえるんじゃねえ!」
「女も! 海もヨ! ……結局は、男は己の腕を頼りに渡り切らねばならねえのさ」
雪降る町へ飛び出す娘。男に励まされた若者は後を追っていく。そして男の眼に光る涙。
それを見た見城は、旅館の布団の中で首をかしげる。月日は人を変えるというが、あれが嫉妬に狂って恋人とその浮気相手を殺した男か? 「待てよ、ひょっとすると……」その時、外から喧嘩騒ぎが聞こえた。
飲み屋の常連達と若い漁師が、酔った勢いで看板娘を巡って乱闘をはじめたのだ。若者の強さに感嘆する見城と、不安げに見守る娘、あきれる中年男。――そして一人が、遂にモリを若者に向けて投げた。
とっさに盾となった中年男の腹に、深々と突き刺さるモリ。我に帰る酔漢たちに「動くな! 警察だッ!」マグナムを抜く見城。
中年男は苦しげに息をしながら、若い恋人達に自分の過去を語ろうとする。「どいてな、救急車!」二人をどかせた見城は、男に語りかける……密告したのはどうやら本人だったらしいな。だが
「見つからなかった! この俺がそう言ってるんだ!」
風吹き荒れる海へ、犯人の写真を投げる――それをマグナムで撃ちぬいた。
“篤子ッ………人を愛するってことは辛いよな………。お前は怒りやしねえよな?
お前の兄貴の江本警視正は怒り狂うだろうがな!”
(続く)
……なんか全話語ることになりそうだな。