マニア様がキテる――「メガロ刑事」(3/10)

“見城重吾ッ、私は妹の篤子を殺したのは、直接ではないが貴様だと思っている!
私はお前が、篤子と同じ鉛の弾をその体いっぱいに浴びて死ぬまで、決して許しはしない………決して!”
 
ホルスターも、見城はそれほど特別なものは使っていなかった――というか、無造作にズボンの背中側につっこんでいる事が多かった。どうも革ジャンの内ポケットにしまう事もあったようだが?
ただ、ホルスターをはっきり身につけるシーンこそ無いものの、一応ヒップホルスターは持っていた。第1話で江本からマグナムを受け取るシーンや、第12話の取調室のシーンでは、サムブレイクでもない旧態然としたストラップ留めのものだった。しかし……1話のそれはベルトループの角度から、右利きの恐らくクロスドロウ用。10話のそれは形状とストラップの向きから判断して左利き用である。何故だ。……とりあえず、私は「やまもと」ミナミ店で見つけたMGC製のルガーP08用ヒップホルスター(革製のストラップ式って意外と無い)を、ジャストフィットとは言えないが無理やり使っていた。
 犯人の使うのは、型式不明のショットガン(ポンプ式や上下2連、水平2連やセミオートのソウドオフ等)、二式小銃よろしくテイクダウン可能なボルトアクション・ライフル、イングラムM11(M10か?)、警官から奪った拳銃、等だが……面白いのは、第4話の犯人が使った警察拳銃。バレルやグリップ形状はニューナンブM60風だが、グリップフレーム形状やコルト風ラッチ(S&W系で言うサムピース)……どう見てもMGCのコルト・ローマンである。第8話の犯人が使ったのは、S&W系フレームに5連シリンダーで、もっとニューナンブらしくなっていたがサムピース形状がS&Wのままだったりする。
警察拳銃といえば、第1話の横浜港署の刑事達や、第2話での所轄の汚職刑事達が使っていたのは、なんとニューナンブM57B自動拳銃。自衛隊向けに試作されたM57Aや同A1でなく、.32ACPを使う小型の……というか、ブラウニングM1910をハンマー外装式にしたようなデザインの、警察向けに試作された拳銃である。57A、A1と比較しても更にマイナーな代物で、私も床井雅美の「世界の銃器」(確か奈良県立図書館で読んだ)でしか見たことが無い。

第2話で見城が山梨に追ってきたのは、各地を転々として来たシャブ中の殺し屋・内村だった。
その標的であるヤクザは、経営するキャバレーで汚職刑事二人と密談するが、ここでホステスを口説く見城が殺し屋だと疑われる。……しかし自分のマグナム(M19のほうよ?)を彼女にこっそり託すことで、汚職刑事からの深い追求を避ける
内村は仕事前に、今は人妻となった昔の恋人と再会する。それを見届ける見城。
――遂に殺し屋は、シャブで病んだ身体を引きずりながらもワルサーP38を標的に向け、連射する(ちゃんとショートリコイルしている)。ヤクザとその子分を、件のホステスを巻き添えにしながら仕留め、更に汚職刑事の一人を倒すも突如不発をおこす(ちゃんとスライド閉鎖しているのでジャムではない)。ダブルアクションで数回トリガーを引くも不発のままで、P38を投げ捨てると床に転がったM57Bに飛びつき、もう一人の汚職刑事を倒す……このあたりのアクションの流れが印象深い。
よろめきつつ雨降る街に飛び出す内村。だがそこに見城が現れ、マグナムを向ける。
シャブで頭がイカれる前に、心底惚れていた昔の女に会いたかったからこの街に来たんだろう、と見城に指摘され、苦しげに笑いながら認めた男は、もう自分はシャブで発狂するか絞首刑か、しかない、だから“楽にしてくれ”と訴える。
「アハハ、とはいえ、このままじゃ正当防衛にゃならねえもんな……あとで、あんたが困るな……」
雨の路上、へたり込みながら拳銃を、最後の力を振り絞って向ける内村。
「苦しませねえよ。357マグナムだ………。ゆっくりやすめ内村……」
(続く)