昭和最後の日の記憶は、混雑するレンタルビデオ店に駆け込んだのが一番強烈である。
平成元年1月8日から平成31年4月30日までの約30年4か月、過ぎてしまえばあっという間だが、色々と世界は変わったものだ。
皇室と日本社会とのかかわりにおいて、あの頃は今よりもっと「天皇制反対」を叫ぶ声は大きく、「大喪の礼」の日に体操をする人たち、というのがニュースのタネになったりもした。
……レンタルビデオ店が混雑したのは、昭和天皇崩御のニュース一辺倒で「テレビが退屈」だったからだけではないかもしれない。
東欧革命、ベルリンの壁の崩壊(いつかは、と思ってたけど、もっと後だと思ってたんだよ)、ソ連邦解体、湾岸戦争。
バブル崩壊こそあったけど、いずれはあまねく景気回復(一億総中流的な意味で)すると思ってたんだけどなあ……。
20世紀から21世紀とまたいだのも大きかった。さすがに「ビルの間をチューブ」という世界になると信じていた世代ではなかったが……ケータイが今でいうスマホの様な代物になるとは思わなかったし(厳密にはガラケーの発展形ではないんだよな)、スポーツカーの退潮がここまでになるとも思わなかった。
自分がイタリア車乗りになるとも思わなかったが。
あの昭和最後の日と比較して、まあいたって穏やかなものである。
やはりあの自粛ムードというのは子供心にも息詰まるものであった。今回はそれが無いし、不安ゼロでないにしてもどこか無邪気に「新しい時代になるのだな」という陽気なムードが漂うのはいいものだ。
「令和」がどういう時代になるか、どこまで続くかはともかく、昭和後期の世代としてもうちょっと楽しく生きてみよう。