この冬の新刊

まだ委託されてない、あと通販待ちのもあるので、そのへんは別として――。


今回のイチオシは、やはりプロイェクト・オスト発行の
「イラストでわかる! 東ドイツ軍」
でした。
いえまあ、他にも面白い本はあったわけですが、メロンブックスでふと発見するまでノーマークというか。

私の子供時代はドイツと言えば西ドイツであり、まだ「ベルリンの壁」があり――やれソ連グラスノスチペレストロイカだのと言われていても、あれだけあっけなく崩壊するとは思わなかったんだ! まだ十代の頃だよ!

新谷かおる「ジャップ」「バランサー」で、東ドイツからの亡命者が、残してきた家族を迎えに行くため大和航空のB747をハイジャックするエピソード。
アウトバーンB747を着陸させたが、そこはすでに東独軍に包囲されており、激しい銃撃を受けるシーン。
そして東ベルリンから西ベルリンに脱出するシーンも、西側からは「壁を超えたら手助けしてやれ!」――とはいえ、積極的には何もできない無情さ。
確か「砂の薔薇」でも、東独時代のヘルガを描いたエピソードがあったな。

笠原俊夫の「レッズ・イン・ブルー」においても、偶発事故からチェコ領空に迷い込んだ民間機を守るため、非武装状態のF-5Fでドッグファイトを演じた結果として東独領内に墜落したローラとミッキー。
二人が西側に脱出するまでの逃避行にワクワクすると共に、東西ドイツの断絶というか、東側の恐ろしさというものにドキドキしたものである。

あれから四半世紀、人類は未だに何をやっているのだ……。

ともかくも、東独は東独でそれなりの事情を抱えており、いかにして彼らなりの社会と体制を築き、守ろうとしていたか、という一端を窺い知る一助となるであろうこの本!

……そのうちイカロス出版から増補改訂の上で商業出版化されるんじゃないかなー、という気がしてならない。
いや、出たら買うけど!