「Z -ツェット- 完全版」

待っていた、
そして期待以上だった。

Z完全版

Z完全版

私がはじめて読んだ青池保子作品は、古本屋で見つけた花とゆめコミックス版「Z -ツェット-」全2巻だった。確か1994年頃である。
そしてその後「エロイカより愛をこめて」再開前の1〜19巻を一括購入するわけだ。


私が青池作品を誰かに紹介するとき、「エロイカ」よりも「Z」を勧めたいと思う。
なぜなら、「エロイカ」はあまりに長期連載され、巻数が多いのに加え、初期エピソードは現在に至るスパイアクションコメディの要素がまだまだ弱く――
「すごく面白いスパイアクションだぜ!」「どこがやねん」
と1巻時点で一蹴されかねない、という気がする、のだ。
 
5巻辺りまで読み進めたなら、グウの音も出ないだろうけどな。

東方れーせん東西冷戦下、NATO情報部のエースであるエーベルバッハ少佐の部下として配属された新米エージェント、Zが過酷な諜報活動の中で傷つき、苦悩し、成長していく物語。
ストーリーテリングはもちろん、いい意味で古典少女漫画の画風を残しつつ更なる変化を遂げていった時期の作品でもあり、なおかつ「エロイカ」としっかりリンクした部分も楽しめる。

今回嬉しいのは、懸念されていた「暗号名は『ホンのジョーダン』」も収録され(花ゆめ版2巻だけだったんだぞ)、更に各話カラーページやカラー&白黒イラストも収録され、

完結したにもかかわらず
どこか物足りなかった
「Z」の物語が
とうとうまとまったのだ!


だけど、
少佐と部下たちの活躍は、
まだまだ続く――。