今週のお題「夏に聞かせたい怖い話」“美女がスープになった家”

聞いた(読んだ)からには、
君も夜中のトイレにつきあってもらう!


「美女がスープになった家」
ある家を、犬を飼っている女性が借りることになった。
彼女は朝風呂が大好きで、近所に住む大家さんが家の前を通ると、よく風呂場の外のボイラが燃える音と、窓からの彼女の鼻歌が聞こえてきたという。

ある日の朝もそうだった。風呂場のボイラが音をたてており、大家さんは「また朝風呂だな」と思いながら自分の家に帰った。
ところがその日の午後、彼女の勤務先から電話が入った。
「今日、彼女が欠勤したのだが、無断で休むなんて様子が変だ。
 ひとつ確認してきてほしい」

大家として、合鍵をもって彼女の家を訪ねた。まだボイラが音を立てている。
彼女を呼んでも返事はなく、家に入ると犬がキャンキャン吠えている。ためらいながら洗面所へ入り、名前をさらに呼んでも返事はない。
しかたなく浴室をのぞきこむと、湯気がたちのぼる浴槽の中で何やら肉が煮込まれている様子だ。
ずいぶん非常識だなあ、と思いながらボイラの火を消した大家さんは、浴槽の中で彼女が煮溶けているのに気がついた。

警察の調べで、恐らく朝風呂の最中に眠ったまま溺死したか何かで、ボイラが過熱するまま煮込まれてしまったのだろう、ということで結論付けられた。

ただ最後まで判らなかったのは、
彼女の大腿骨が1本
無くなっていたことだった。