ここまで長い文章になるとは思わなかったよ

「わたしの国では――」
ティラナが言った
「――多くの人々に悼まれる死者は、それだけ穏やかな常春の国に近づけるとされている。フューリィ警部はたぶん、そうなるだろう」

蓬莱学園」短編集において賀東招二が創造したキャラ、自称牧師のオニールは、やってる事はアレだったが(学園の人気ラッパーの恋愛問題に手を貸しつつ、元・盗撮少年を巻き込んだ挙句、ラッパーの出演するTV番組枠を乗っ取りTV伝道師デビューを果たそうとした、等)なかなか印象深い存在だった。
そのオニールとの“再会”を喜び、続く「10万ドルの恋人」も洋物ドラマテイストが加速。マトバとティラナ、猫のクロイ、上司の警部や同僚のトニー達とのやりとり、その捜査過程と結末の「洋物ドラマのノベライズ感」を大いに楽しんだ。
「もしかして、“蓬莱”でやりたかった事を、仕切り直ししてるのかも……」などと、ちらりと頭をよぎったりもした。「蓬莱83分署」とか。 

だが、しかし……Z文庫自体の新刊が出やしない。
……だから今回、アニメイトの店頭で見たとき、
“おそるべき子猫”ケー・イマトゥバ(笑)にまた会える! と喜びレジに直行。旧版から加筆修正された本作、今後への期待を胸にしつつじっくり読んだ。

旧版との最大の差異は、ティラナの容姿が(実年齢はともかく)

ハイティーンで凛々しい巨乳少女だったのが、ローティーンの貧乳少女になった事、か……しかし、旧版がどちらも手元に無い(どこかにしまいこんだ状態。処分はしてないはず、だが?)ので記憶モードなれど、マトバの中学時代のエピソードは加筆分のはずだ(と思う)。
マトバが日本の中学生だった時代、パソコンのサポセンで感じた『自分たちは負けるかもしれない』という不安――。自分(たち)の信じていた優位性が崩れそうになる、このあたりのエピソードが、本筋を大きく左右するものではないが妙に重く響く。
この調子で、「10万ドル」もいずれ加筆修正のうえで出るだろう……どう変化しているか? 楽しみである。

ところで、
もし本作がアニメ化されるとしたらば……是非とも本格的に「洋物ドラマの日本放送版」的なノリでやってほしいものだ。
勿論タイトルは「魔道刑事ドラグネット・ミラージュで!
声優は……警部の声は内海賢二、マトバは羽佐間道夫として、ティラナは……旧版だったら小宮和枝でよかった、かも知れないが? いや、マトバ=堀内賢雄にティラナ=坂本千夏とか(待てゐ)。
トニー・マクビーの声は三ツ矢雄二で。これ絶対。