同じテープにもう1話

ヒルストリート・ブルース」、もう1本は、クリスマスに沸くヒル分署管内の一日。

小児科病院の子供たちに贈るプレゼントを取りまとめている最中、SWAT隊員のひとりがうっかり、か――押収品のウージーを紛れ込ませてしまう。
それを見つけたデカ長のヘンリー・ゴールドブルーム。
「ハンター、オモチャでも、子供のプレゼントにコレは危ないだろう」
SWAT隊長のハンターは、
「私は、今時の心理学者みたいなことは言わんよ。子供たちには危険なのとそうでないものとを見極める力を持ってほしいんだ。
 ……しかしこれ、オモチャにしてはよくできてるな」
フルオートで発射される。
「……ホンモノだ」

管内では無差別な暴行傷害・殺人事件が発生していた。現場でレンコ巡査の報告を聞くワシントン刑事は何か不機嫌だ。
「ここはレンコに任せよう、行こうぜ」なだめるラルー刑事。
レンコの相方、ボビーには不愉快な来客。かつて家族を捨てて、カネの無心にだけ帰ってくる放浪者の――実の父親。
「すっかり立派になったな、オンナどもがほっておかんだろう」
「何の用だよ」
「クリスマスを息子と祝おうと思ってな、ほら、プレゼントだよ」
封筒の中身は500ドルの小切手。
「ただしワシも余裕がない。350ドルだけな。あとで、わしの止まってるホテルへ顔を出してくれよ」
手持ちの150ドルをくれてやり、父親を追い払うボビー。

内勤係のレオとエスターハウス主任とは、ホームレス相手にひと騒動。
「オレはヘベレケで迷惑罪だぁ〜タイホしろぉ」
「アンタ言う程酔ってないでしょ」
「留置場のクリスマスディナーが食べたいだけなら、救世軍の方でもいいじゃないか」
「わかってない、救世軍のはハムだが、こっちは七面鳥だろ〜」
そこへ現れたのは、署長の前妻フェイ。彼女の前でコートをガバッ!
「……ワイセツ罪だな、レオ、留置してやれ」

フェイはフリロ署長の所に怒鳴り込んでくる、のはいつもとして、妙にメソメソ。大事な息子がフリロとその彼女、ダヴェンポート弁護士と共にスキーに行くのだ。
「フランクJr.とクリスマスに離れ離れなんてェ〜、これ、あの子にプレゼントよぉ〜、風邪ひかさないでよぉ〜」

暴力事件では、既に死者も出ている。
フリロとカルタノ警部補が額を突き合わせる中、巡査のルーシーが報告する。
「この容疑者、あたしとコフィーが少し前に逮捕したヤツです! 隣の管轄に住んでます」クリスマス保釈されていたのだ。
アパートに急行・突入し未登録の拳銃を押収、容疑者の従妹を拘束するがホンボシは不在で、取り調べに応じようとしない。
「クリスマスだよ! すぐに保釈さ!」
「警察は書類で動くんだ、保釈書類を無くしたら、お前なんか気にする奴はいない」
遂に口を割った。

警官たちは懸命に任務を果たすが、それでも休息は必要だ。カフェテリアでは、父親の事でイライラしているボビーに、自分の父が死んだときの体験をもって諭すレンコだが、ボビーは納得しない。
隣のテーブルでは、ラルーとワシントンも雰囲気がおかしい。
「あの店の七面鳥を持って行けよ。前に俺が孕ませたスッチー覚えてるか? あの女も――」
「それとは違うぞ、おれは彼女の亭主を殺してる」
しばらく前、酒屋の強盗事件に遭遇したワシントンは、銃を持って飛び出してきた店主を犯人と誤認し、自分に銃を向けられたため射殺していたのだ。
「事故じゃないか、彼女も案外判ってくれるかもよ」