.25口径

先週、静岡新聞の夕刊を見て

餃子の王将社長射殺される」

という見出しに、ものすごく違和感があった。

餃子の王将社長」

「社長射殺される」
の繋がりがピンとこなかったのだ。これがどっかの銀行頭取とか市長とか、あるいは――まあとにかく、「餃子の王将」というのは間違いなく業界大手としても、事件の被害者となる、としてはなんだか違和感があった。

痛ましい事件なのに不謹慎だとは思うが……。まずは大東隆行氏のご冥福をお祈りする。
 







その動機はともかくとして、事件に使用されたのは.25口径(0.25インチ、6.35mm)の自動拳銃だという。サイレンサーが使われた、というハナシが喧伝されてるわけだが、実際にはどういうシチュエーションで、どんな犯人なのか? 疑問はつきない。

そもそも、.25口径でなきゃダメだった理由はあるのか? 当初サイレンサー、つまりサウンド・サプレッサー(減音器。米国でも連邦法で規制されていて、一般には出回っていない)の話が出た時点で、.22口径(5.56mm)――.22LR(ロングライフル)弾薬のガンだと思った。
.22LRは初心者(グアムあたりの日本人観光客含む)のお遊びから、本格的な射撃競技まで幅広い層に使用される弾薬で、それを使用する拳銃の中には特殊任務用途にサプレッサーを装備したタイプもある。

サプレッサーを装着、となると、銃身や銃口まわりの形状的に――どうやって装着しようか、という話になるが、例えばまさに特殊任務用のS&W・Mk22(9mm口径)やH&K・Mk23(.45口径)は銃身の先端がスライド・カバーから突き出して、その外側にネジが切ってある。装着方法は銃によって異なるが、大体は銃口や銃身そのものにサプレッサーを被せる(銃口にネジ込むのはあくまでフィクションやトイガンの話)ようになっている。
で、.22のオートは銃身がスライドで覆われてないものが珍しくないけど、.25のオートは大抵“ヴェスト(チョッキ)ポケット・ピストル”などと呼ばれるような小型のものが多く――そう、.22より小型だ! ――銃口がスライドやフレームから突き出してない方が多い。つまりサプレッサー装着に向いてる機種が少ないのだ。少なくともメジャーだとは言えない。

サイレンサーが使われた」というのも、そもそもが「ナマの銃声を知らない」人が大半であろう日本において、何か聞こえてもそれが銃声だと認識できなかった、というのも可能性に入れていいような気がする。

昔、グアムのT.O.R.I.で射撃した時、うっかりイア・プロテクターを外してしまった私は――数メートル先で他の客が撃った(少なくとも.22や.25ではなかったと思う)のを聴いてしまったが、まるで打ち上げ花火の爆発音だった。
聴いたのがもっと離れた位置だったり、屋内・屋外でも、使用弾薬などでも当然変わってくるだろう。

…….25を選んだ、のか、.25しか無かったのか、どっちだろう。