城北公園のD51

鉄のピストンは萎え、鉄のボイラは力を失い、塞がれた煙突は二度と煙を吹くことはない。
鉄の巨人は死んだのだ。
夢の超特急も死んだ。青い流れ星も死んだ。
鉄路をロマンで満たした者は全て逝ってしまった。


城北公園に久しぶりに訪れた。

かつて駿府公園の児童会館前に静態保存されていた、
D51に会うためだ。

D51蒸気機関車
国鉄の設計・製造した貨物用蒸気機関車。“デゴイチ”の愛称で知られる。城北公園の保存機は日本車両製造昭和13年に製造された146号機。



ちょうど、近くの小学校の校外学習か何かだろうか? 体操着姿の子供たちが大勢いた。

おかげで撮影に神経使うったら……子供を撮影したら、やな立場に立たされてしまいかねない。いやな時代だ。

運転席はもともと鉄格子で閉鎖されていたが、城北公園への移設に際してか? 金網が追加された。

子供たちは、これが本物の機関車だということが、いまいち信じられない様子だった。
それでも、大勢群がっていた。
金属と油の香りが漂う、この巨人に。

鉄のピストンは萎え、鉄のボイラは力を失い、塞がれた煙突は二度と煙を吹くことはない。
夢の超特急も死んだ。青い流れ星も死んだ。

だが、静岡の太陽にさらされながら、巨人は確信していた。
子供たちは今日も生き、今日も走っていると。
巨人は、子供たちの声を聞いていた。
春先のそよ風の中に。








……だから何でダグラムネタを。