日本丸出港

ごきげんよう
ごきげんよう
見送る人々への挨拶が、岸壁の風の中にこだまする。

希望に燃える心身を包むのは、白い制服。

広大な海へ旅立つ若人たちが、今日も日に焼けた笑顔で、
高いマストをよじ登っていく。

(中略)
練習帆船「日本丸」。

昭和59年就役のこの帆船は、航海訓練所の練習帆船だった先代日本丸の跡継ぎとしてつくられたという、伝統ある名を受け継いだ船である。
時代は移り変わり、元号が昭和から1回改まった平成の今日でさえ、
航海を重ねるごとに海の若人が箱入りで出荷される、
という仕組みが未だ残っている貴重な船である。