「湾岸Fanroad ミーハーランナー」

「投稿道F」……また休刊ですか。


机の中を引っかきまわしていたら、昔の書き損じなハガキが出てきた。
ほりのぶゆきの「大捜査線」”とか。

……ファンロードの投稿に冷めちまった理由はいくらでもある。
雑誌の扱うネタの傾向の変化、お気に入りの常連の引退、ネットのリアルタイム性。
なぜ常連が去っていったのか――そしてFR時代を語らない作家がいるのはなぜか、考えたことはなかった。

それでも――あの時代にハガキ一枚に熱意をこめて、ネタをひねりだしていた、
イタく熱い日々だけは忘れないと思う。
 

文字で見せましょう
“湾岸Fanroad ミーハーランナー”
幻のオタクカルチャー雑誌「ファンロード」を再始動せよ――。

「どうみてもハタチ前のコゾー、オタ業界のノリを判ってないんですね。
……だけど、妙にセンスはあるんです」


「水野というオレの知り合いだ」
「水野…もしかして、水野“良太君”ですか?」


「良太君、何しにきたっ。純真なオレにさんざんウソついて……」
「小吉君、それは誤解です。オレは誌面を盛り上げるためにネタを誇張しただけ。ベースになるエピソードが無ければ、それはタダの虚構でしょう」


「ねえ、どうしていちいちハガキにネタ書くわけ?」
「思いついたネタはハガキに書いてみる。そうすると、そのネタのどこがいいのかわかるのよ」
 

「先輩投稿者の実技指導も効いてるが、意外なのは良太君の学科指導が効いてるよな」
「え?」
「編集部の本棚に過去のバックナンバーや、一本木蛮のコス写真だのトミノコ族ザクメットだのゲゲボドリンクの空き缶だの並べていく。
当然いちいち眼を通さなきゃわからない、わからないから考えていく。そりゃ、ネタは練れてくるわな」