最后の標的(1/4)

私がモデルガンの世界に踏み込んだ原因は色々あるが、その一端として、小峯隆生氏をリーダーとする“3K-SWAT”共著「モデルガン大百科」があった
これはいわゆる“ケイブンシャの大百科”の一冊で、子供向けにじつにうまいこと要点を絞って書かれたモデルガン入門書だった。
で、そのコミネ氏の「MGストーリー」は、コンバットマガジンの連載の中で一番楽しみな記事なわけだが、それを読んでいて思い出した事がある。
コミネ氏は「太陽にほえろ!」のジーパン刑事に感化されて、手持ちのMGCハイパト.41を.22口径にしようとした、という。私も再放送でだが、ジーパンの活躍に胸を熱くした思い出がある。だからタナカの新製品予想&希望で、Nフレベースで“ジーンズコップ・モデル”なんてのを妄想したわけだが。
ただ、氏の記憶にいささか不正確な部分があるなー、とか思ったりして……私も記憶モードで負けじと書いてみよう。
 
殉職した前任の“マカロニ刑事”早見淳の後任として七曲署捜査一係へやってきた、松田優作演じる“ジーパン刑事”柴田純。
警官だった父は“市民と接するのに拳銃はいらん”と、拳銃を持たずに殺されたが、彼もその信念を受け継いで頑なに拳銃携行を拒否していた。
本庁の幹部(直後、七曲署の署長になる)に書類を届けに行った時、父親の死を無駄死にだと非難され、挙句
「君は父の同僚たちのおかげで、お情けで刑事になれたんだ!」と罵倒される。
捜査中に訪れた一般家庭で、その家の子供に問われる。
「オニイチャンは刑事なのに拳銃持ってないの? へんなのォ」
「ウン、俺は新米だからな」
それでも拳銃を持とうとはしなかった。あくまで得意の空手で戦っていた。

だが「海を撃て! ジーパン」で、殺人容疑者の青年を追い詰めるも同僚のシンコ(関根恵子)が撃たれ、青年も自殺してしまった。
この時「あの時、自分が拳銃を持って応戦していたら」と苦悩する。やがて容疑者の青年は自殺でなく、真犯人である米国人に殺されたと判明した。犯人を追って港へ急行する刑事達――ジーパンは長さんから拳銃をひったくり、突堤を疾走する。モーターボートで逃げようとする犯人めがけ、ジーパンはハイパトを連射する!
モーターボートはエンジンを撃たれて止まった。
“ドンシューッ! ドンシューッ! ドンシューアイムギバーップ! ドンシュー! ドンシュー!”
船上で手を上げて降伏する犯人の叫びが、海面に空しく反響する。

かくてジーパンもハイパトを携行する事となる。だが、ジーパンがハイパトから.22口径に持ち替えるには、それなりの展開があった。
(続く)